中部電力、インド再エネ大手に230億円出資 日系企業の脱炭素需要取り込む

2026/6/12

中部電力、インド再エネ大手に230億円出資 日系企業の脱炭素需要取り込む

写真出典:Continuum Green Energy Limited


中部電力は11日、インドの再生可能エネルギー開発・小売事業会社Continuum Green Energy Limited(コンティニューム・グリーン・エナジー、ムンバイ)に約230億円(135億インドルピー)を出資すると発表した。規制当局の承認などを経てContinuum社の株式を取得する。急拡大するインドの企業向け再エネ市場を取り込み、現地に進出する日系企業の脱炭素化需要への対応を強化する。


Continuum社は2009年設立。風力・太陽光発電所の開発・運営に加え、商業・産業(C&I)向けにコーポレートPPA(電力購入契約)を通じて再生可能エネルギー電力を供給している。事業エリアはマハーラーシュトラ州やグジャラート州、タミル・ナードゥ州などを含むインド全土に広がり、企業向け再エネ供給分野では国内有数の事業者として知られる。


インド政府は2030年までに再生可能エネルギー導入量を500GWまで拡大する目標を掲げている。経済成長に伴う電力需要の増加に加え、製造業の集積が進むなか、企業による再エネ調達ニーズも急速に高まっている。


近年はインド国内で一定割合以上の再生可能エネルギー利用を求める制度整備が進み、多国籍企業や輸出産業を中心に脱炭素電力への需要が拡大している。企業は温室効果ガス排出量の開示において、購入電力由来の「スコープ2」やサプライチェーン全体を対象とする「スコープ3」への対応を迫られており、再エネ調達は重要な経営課題となっている。


中部電力は今回の出資を通じて、グローバルな製造拠点として存在感を高めるインド市場で、日系企業の再エネ調達を支援する考えだ。国内では中部電力ミライズが多数の法人顧客を抱えており、これらの顧客ネットワークを活用してContinuum社の顧客基盤拡大にもつなげる。


Continuum社の主要株主には、同社持株会社のCGEHL(シンガポール)や、気候変動対策投資を手掛ける英Just Climateが名を連ねる。中部電力は同社への参画により、成長が見込まれるインドの再エネ市場で事業基盤を確保する。


同社は海外事業において、再生可能エネルギーを中心とする「グリーン領域」、CCUS(CO₂回収・利用・貯留)や水素事業などの「ブルー領域」、小売・送配電・新サービス領域、さらに新規事業を含む「フロンティア領域」の4分野を成長戦略の柱に位置付ける。今回の出資は、アジア新興国での再エネ事業拡大を通じて収益基盤を強化するとともに、脱炭素社会の実現を後押しする取り組みとして位置付けられる。


今回の出資は単なる発電資産への投資ではなく、日本企業の海外脱炭素ニーズを取り込む「需要家起点」の戦略投資といえる。日本国内の再エネ市場が成熟化する一方、インドでは製造業の集積拡大と再エネ利用義務化を背景に、企業向けPPA市場が急成長している。中部電力は電力販売会社として培った顧客基盤を活用し、インド進出企業の再エネ調達支援を通じて新たな収益機会を創出する狙いがある。日本の電力会社による海外再エネ投資は発電事業中心から「顧客伴走型」へと軸足を移しつつあり、今回の案件はその象徴的な事例となりそうだ。


参考資料:Continuum Green Energy Limited、日経新聞

前のページに戻る
ベスタス、台湾で15MW級洋上風車の初号ハブ組み立て完了 渢妙一期向け、予定前倒しで納入
By info • 2026年10月14日
デンマークの風力発電機大手ベスタス(Vestas)は12日、台湾・台中で大型洋上風車「V236-15.0 MW」の台湾初となるハブの組み立てを完了し、当初の予定を前倒しして納入したと発表した。
プロロジウム・楊CEOに聞く商業化戦略 EVから多様な用途へ、台日連携で次世代電池の事業展開を推進
By info • 2026年10月8日
プロロジウムの楊思枏CEOに、次世代電池の安全性と商業化戦略を聞いた。全固体電池の量産、第4世代技術の特徴、建設車両やAIデータセンターへの用途拡大、九州電力との日本での生産構想、フランス工場の計画を紹介する。
レノバ、蓄電事業を次の収益柱に 大型案件と長期契約で成長基盤
By info • 2026年10月6日
レノバが系統用蓄電所の開発を加速。公表済み案件は開発中を含め677MWに達し、2030年度のEBITDAは115億~125億円を見込む。大型案件と長期契約、市場取引を組み合わせ、太陽光・バイオマスに続く収益基盤の構築を進める。