エネルギー安全保障とGXは両立できるか SMART ENERGY WEEKが映す日本市場の変化

2026/6/22

エネルギー安全保障とGXは両立できるか SMART ENERGY WEEKが映す日本市場の変化


世界的なエネルギー情勢の不確実性が高まるなか、日本ではエネルギー安全保障とGX(グリーントランスフォーメーション)を両立させる動きが加速している。原子力発電の再稼働が進む一方で、再生可能エネルギーへの投資も拡大しており、「脱炭素」と「安定供給」を同時に追求する姿勢が鮮明になっている。


こうした日本のエネルギー政策や産業動向を映し出す場の一つが、国内最大級のエネルギー総合展示会「SMART ENERGY WEEK」だ。2026年も東京と大阪で開催され、水素、蓄電池、太陽光、風力、CCUSなど幅広い分野の企業が集結した。


原子力と再エネは「競合」ではなく「補完」


日本では原子力発電所の再稼働が進む一方、再生可能エネルギーの導入目標も維持されている。政府はエネルギー安全保障の観点から電源の多様化を重視しており、原子力をベースロード電源として活用しながら、再生可能エネルギーの拡大によって化石燃料依存の低減を図る方針だ。


とりわけ洋上風力や水素分野では、GX投資や移行金融(トランジション・ファイナンス)の活用が進み、長期的な成長産業として期待が高まっている。


洋上風力は次の成長ステージへ


SMART ENERGY WEEK内のWIND EXPOでは、洋上風力発電関連企業の存在感が一段と増している。サプライチェーンの国内構築や浮体式洋上風力の開発が主要テーマとなり、日本市場が着床式から浮体式へと視野を広げつつあることがうかがえる。


SMART ENERGY WEEK事務局長の小笠原徳裕氏は、「洋上風力、特に浮体式技術は非常に重要な分野の一つだ」と指摘する。


日本周辺海域は水深が深いエリアが多く、浮体式技術の商業化が市場拡大の鍵を握る。国内外の金融機関やサプライヤーも関連事業への関心を強めており、日本発の技術・運用モデルがアジア市場へ展開される可能性も期待されている。


年3回開催の背景にある「成果重視」の思想


SMART ENERGY WEEKは東京(春・秋)と大阪の年3回開催を続けている。開催頻度の高さは、日本のエネルギー市場の変化の速さを反映しているようにも見えるが、小笠原氏は別の理由を挙げる。


「出展すればビジネスにつながる展示会」を追求した結果だという。


展示会の役割は、認知拡大、新規・既存顧客との商談機会創出、そしてリード獲得の3点にある。開催回数が増えることで企業同士の接点が増え、より多くのビジネス機会が生まれるという考え方だ。


実際、3月と9月の東京展、11月の関西展では来場者層や商談内容が異なり、同じ企業であっても参加する担当者や検討テーマが変化するケースが少なくないという。


CCUSや核融合など新領域も拡大


事務局では各開催回の差別化も進めている。


2026年秋展ではCCUS(CO₂回収・利用・貯留)や核融合など次世代技術の展示強化を計画しており、「東京展の単なる再演にはしない」(小笠原氏)という方針を掲げる。


エネルギー転換が加速するなか、展示会は単なる製品紹介の場から、投資家、事業者、自治体、サプライヤーを結び付けるビジネスプラットフォームへと役割を変えつつある。



SMART ENERGY WEEKの展示内容を見ると、日本のエネルギー戦略は「原子力か再エネか」という二項対立ではなく、エネルギー安全保障と脱炭素を両立させる多層的なアプローチへと移行していることが分かる。展示会の活況は、その変化を象徴する一つの指標と言えそうだ。

 


このコンテンツはWindTAIWANにて公開されたものであり、

ENERGYNIPPONとのコラボレーションにより共有されています。

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