セムコープ、ジョホール再エネ電力300MW輸入へ AI・データセンター需要に対応

2026/8/10

セムコープ、ジョホール再エネ電力300MW輸入へ AI・データセンター需要に対応

画像:マレーシア・ジョホール州リンギウ貯水池で計画される水上太陽光発電設備のイメージ(画像はイメージ)


シンガポール政府系エネルギー大手のセムコープ(Sembcorp Industries Ltd)は7日、マレーシア・ジョホール(Johor)州の再生可能エネルギー電力を最大300メガワット(MW)輸入する事業について、シンガポール当局から条件付き認可を取得したと発表した。2029年の運転開始を予定しており、データセンターや人工知能(AI)関連産業の拡大で高まる電力需要への対応を急ぐ。


事業では、ジョホール州政府系インフラ企業のKPRJ EnvironmentおよびQua Energyと連携し、リンギウ貯水池に大規模な水上太陽光発電設備を建設する。発電容量は最大2.2ギガワットピーク(GWp)に達し、最大4.3ギガワット時(GWh)の蓄電池システムを併設する計画だ。


発電した電力はマレーシア国内とシンガポールの双方に供給する。シンガポール向けについては、既存および将来整備される海底送電インフラを活用し、国境を越えた電力取引を行う。両国間の電力融通を通じて、地域のエネルギー連系強化にもつなげる。


セムコープでシンガポール事業およびガス関連サービス部門を統括するコー・チャプキョン(Koh Chiap Khiong)最高経営責任者(CEO)は「本プロジェクトは、多様化したエネルギーポートフォリオをさらに強化し、データセンターやAI関連産業など電力集約型分野に対して、信頼性の高い低炭素エネルギーを安定供給する基盤となる」とコメントした。また「地域協力を通じてエネルギー安全保障を高め、越境電力取引と脱炭素化を後押しする事例になる」と強調した。


シンガポール政府は2035年までに最大6ギガワット(GW)の再エネ電力を海外から輸入する方針を掲げている。これまでにセムコープは、ベトナムから1.2GW、マレーシア・サラワク(Sarawak)州から1GWの再エネ電力を輸入する計画についても条件付き認可を取得しており、東南アジア域内での電力調達網の構築を進めている。


シンガポールでは近年、データセンター新設に対して再生可能エネルギー利用や高効率設備の導入など厳しい環境基準を課している。一方、ジョホール州では大規模データセンターの建設ラッシュが続いており、両地域で低炭素電力への需要が急速に拡大している。


セムコープは2024年12月から、マレーシア国営電力大手テナガ・ナショナル(Tenaga Nasional Berhad)から50MW規模の再エネ電力を試験輸入している。加えて、サラワク州の水力発電やベトナムの洋上風力発電を活用した輸入計画の準備も進めており、シンガポールのエネルギー転換を支える広域再エネ戦略を加速させている。


同社株は8月7日のシンガポール市場で前日比0.2%高の5.60シンガポールドルで取引を終えた。2026年上期決算は8月13日に発表する予定である。


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今回の計画は、単なる再エネ導入案件にとどまらず、東南アジアにおける「越境グリーン電力市場」の形成を象徴する動きといえる。特にシンガポールは国土制約から大規模再エネ開発余地が限られるため、周辺国の太陽光・水力・洋上風力を海底送電網で取り込む戦略を鮮明にしている。ジョホール州のデータセンター集積とシンガポールのAI需要拡大が相互に結び付くことで、マレー半島南部は今後、ASEANの新たな低炭素エネルギーハブとして存在感を高める可能性がある。


参考資料:yahoo!Finance, NIKKEI, sembcorp

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