大手ゼネコン、浮体式洋上風力の技術開発を加速 NEDO採択で実用化へ競争
2026/8/19
大手ゼネコン各社が、浮体式洋上風力発電の実用化に向けた技術開発を本格化する。大林組、大成建設、清水建設は17日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した研究開発事業について、それぞれ参画する提案が採択されたと発表した。
今回、NEDOが採択した5つの研究開発テーマのうち、3テーマに大手ゼネコンが参画する。浮体構造の低コスト化や施工の効率化、維持管理技術の高度化などを進め、商用化を見据えた技術の確立を目指す。
大林組、TLP型浮体の施工を無人化
大林組は、再生可能エネルギー開発大手のユーラスエナジーホールディングスと共同で、鉄筋コンクリートと鋼材を組み合わせたハイブリッド構造の浮体を開発する。
採用するのは、浮体と海底に設置したアンカーを係留索でつなぐ「TLP(Tension Leg Platform)型」の浮体構造だ。浮体を海底につなぎ留めるアンカーの設置作業などを対象に、施工の無人化に向けた実証試験を2027年夏に実施する予定。
TLP型浮体の構造を合理化し、建造・施工コストの低減にも取り組む。2028年度以降には、出力1MW級の風車を搭載した浮体を実海域に設置し、実証試験を行う計画だ。
浮体式洋上風力では、海底の地盤条件や海象に対応した施工技術に加え、設置・撤去作業の効率化が商用化に向けた重要な課題となっている。大林組は施工の無人化を通じて、将来的な大規模導入を見据えたコスト削減を狙う。
大成建設、コンクリート製セミサブ式浮体を低コスト化
大成建設は、東京電力ホールディングス、北海道電力と共同で、構造部材にコンクリートを用いたセミサブ(半潜水)式浮体の低コスト化技術を開発する。
NEDOの採択事業では、コンクリート製浮体の製造実証試験を実施する。浮体の経年劣化が構造性能などに及ぼす影響を検証するとともに、光ファイバーセンシングを活用したひび割れのモニタリング技術の有効性も確認する。
コンクリート製浮体は、主要資材の多くを国内で調達できることが強みとなる。海外からの資材調達への依存を抑えられるほか、日本国内の建設・土木技術を活用しやすい点も特徴だ。
一方、商用化には浮体の量産技術や長期的な耐久性の確保、運転開始後の維持管理コストの低減などが課題となる。大成建設は製造から維持管理までを含めた技術の確立を目指す。
清水建設、モジュール型浮体で組み立てを効率化
清水建設は、JFEエンジニアリング、東京電力リニューアブルパワー、ユーラスエナジーホールディングス、日本海事協会(ClassNK)と共同で、モジュール型の浮体構造を開発する。
浮体の接合部には「ピン結合」と「グラウト接合」の2つの技術を採用する。グラウト接合は、鋼管部材の隙間に充填材を流し込んで固定する方法で、ピン結合とともに土木・建築分野で広く利用されている。
既存の建設技術を浮体構造に応用することで、浮体の組み立て作業を効率化し、建造コストの削減につなげる。事業期間は2026~27年度を予定している。
浮体式洋上風力では、巨大な浮体を陸上または港湾で組み立て、海上へ輸送・設置する工程がコストや工期を左右する。モジュール化によって製造や輸送、組み立ての柔軟性を高められるかが、今後の普及を左右するポイントとなる。
日本の浮体式洋上風力、商用化へ技術競争
政府は浮体式洋上風力を、再生可能エネルギーの導入拡大を支える重要な電源の一つと位置づけている。日本は海域が広く、深い海域も多いことから、着床式に加えて浮体式の導入拡大が期待されている。
一方、浮体式洋上風力は、浮体そのものの製造コストに加え、係留、海上輸送、設置、保守・点検などのコストが高く、商用化にはさらなる技術革新が求められる。
今回のNEDO事業では、大林組、大成建設、清水建設がそれぞれ異なる浮体構造や施工技術の開発に取り組む。建設大手が持つ土木・建築分野の技術を浮体式洋上風力に応用することで、国内サプライチェーンの構築やコスト低減につながる可能性がある。
浮体式洋上風力の商用化が視野に入るなか、ゼネコン各社による技術開発競争は今後さらに激しくなりそうだ。
参考資料:NIKKEI、大林組プレスリリース、清水建設プレスリリース、大成建設プレスリリース





