アルバトロス、住友重機械と資本業務提携 国産浮体式風車の大型化へ
2026/9/18
長崎県の小型海上実験機。アルバトロス・テクノロジーにより
2.5億円調達、2030年めどに2MW級の海上実証を計画
浮体式洋上風車を開発するアルバトロス・テクノロジー(東京・中央)は9月9日、住友重機械工業との資本業務提携を発表した。独自の「浮遊軸型風車(FAWT)」の大型化と実用化に向け、設計から製造、設置、保守までを担う国内サプライチェーンの構築を進める。両社の設計・生産技術を組み合わせ、量産化を見据えた開発体制を整える。
日本経済新聞の報道によると、2030年をめどに出力2メガワット(MW)級の海上実証を始める計画だ。大型実証機は羽根の長さが70メートル級で、部品のほぼ全てを国内で調達する方針。設置場所は複数の自治体と調整している。
同社は同日、プレシリーズBラウンドで総額2億5000万円を調達したことも公表した。第三者割当増資を引き受けたのは、日本政策投資銀行、住友重機械工業、三菱ガス化学、昭和機械商事、アルバクロス、ほくほくキャピタルの6社と個人投資家。シードラウンドからの累計調達額は約7億7000万円となった。今回の資金は主に大型海上実験機の準備に充てる。
FAWTは、垂直軸型の風車と浮体を組み合わせた方式だ。重い発電機を下部に配置することで重心を低くし、風車を支える浮体の小型化を図る。部材をつなぎ合わせるモジュール構造を採用し、国内の既存工場を活用した製造・組み立てを目指す。
日経報道では、羽根に軽量な炭素繊維を使用し、製造コストを現在主流のプロペラ型の半分程度に抑えることを見込む。ただし、これは開発段階の見通しであり、商用機での達成実績を示すものではない。
大型化に向けた基礎となるのが、長崎県壱岐市で進む小型機の海上実証だ。アルバトロスとJパワー、東京電力ホールディングス、中部電力、川崎汽船、住友重機械工業の6社は、7月2日から約1年間の予定で実証を始めた。実験機は3枚の直線翼と円筒形の浮体で構成し、ローター直径は9.3メートル、最大出力は20キロワット。海底アンカーにつながる3本の係留システムで位置を保持する。
実証では数値解析や水槽試験、陸上試験で得た知見を踏まえ、実海域で技術の成立性を検証する。終了後は実験機を撤去して部材の状態を調べ、長期運用上の課題を洗い出す。得られた成果をメガワット級実証機の設計に反映する計画だ。
住友重機械は2024年から共同開発に参画しており、今回の提携で資本面でも関係を深める。両社は自治体や港湾関係者、地域企業との連携を進めるとともに、海外市場への展開も視野に入れる。
小型機での検証から大型実証へと開発を進めるなか、今後の焦点は、海上での運転データを積み重ね、耐久性とコスト低減の見通しを具体化できるかにある。国産部材による供給体制の整備と、量産を見据えた設計の確立が事業化を左右しそうだ。
参考資料:アルバトロス・テクノロジープレスリリース(1)、アルバトロス・テクノロジープレスリリース(2)、Jパワープレスリリース、Fukuoka Growth Next、NIKKEI





