レノバ、蓄電事業を次の収益柱に 大型案件と長期契約で成長基盤
2026/10/06
レノバなど4社が共同開発した姫路蓄電所(兵庫県姫路市、2025年8月撮影)。出力15MW、蓄電容量48MWh。写真:レノバ公表資料
再生可能エネルギー開発のレノバ(Renova)が、系統用蓄電所の開発を成長戦略の柱に据えている。大型案件の開発と長期契約による収益確保を組み合わせ、太陽光やバイオマスに続く事業基盤の構築を進める。
大型案件の一つが、静岡県袋井市の袋井宇刈蓄電所だ。想定出力99.9MW、蓄電容量280MWhで、2029年度の運転開始を予定する。7月31日には事業会社がみずほ銀行と約72億円のプロジェクトファイナンスに関する融資契約を締結した。
静岡県菊川市でも出力90MW、容量270MWhの菊川西村蓄電所を建設中で、2028年度の運転開始を見込む。一方、兵庫県の姫路蓄電所は2025年10月、島根県の安来蓄電所は2026年4月に稼働した。小規模案件を含む既存設備で運用経験を蓄えながら、大型案件の開発を進めている。
同社は袋井宇刈と菊川西村の両案件で市場運用を自ら担う。大規模化によるコスト競争力に加え、充放電や市場取引を最適化する知見を社内に蓄積し、収益力を高める方針だ。袋井宇刈では主に需給調整市場と容量市場を活用し、電力の需給バランスを保つ調整力や供給力を提供する。
蓄電所は電気を新たに生み出す設備ではない。電力を一時的に蓄え、必要な時間帯に放出することで、天候に左右される再生エネの出力変動を補う。レノバはデータセンターや半導体工場の新増設に伴う電力需要の拡大を見据え、発電所の開発と併せて、再生エネを使いやすくする蓄電設備の整備を進める。
収益モデルは市場取引だけに依存しない。長期の利用契約に基づくオフテイク型と、長期脱炭素電源オークションを活用する案件も組み合わせる。北海道の石狩蓄電所は出力30MWで、2027年度の商業運転開始を予定する。東京ガスが20年間にわたり固定の利用対価を支払い、蓄電池の運用権を得る契約を結んでいる。
8月の決算補足資料では、長期脱炭素電源オークションを活用する苫小牧、白老、森町睦実の3案件を計215MWと整理した。市場販売型と長期収入を確保する事業を並行して展開する構成だ。
課題は、開発規模の拡大を実際の収益につなげられるかにある。レノバは2030年代前半に蓄電池同士の価格競争が進むと想定し、需給調整市場の上限価格引き下げや募集量縮小を収益見通しに織り込んだとしている。2030年度の利益見通しは現時点の試算であり、市場環境などによって変わる可能性がある。
同社は系統接続に必要な工期や費用を確認したうえで最終投資決定し、着工する方針を示す。大型案件を計画通りに稼働させる開発力と、競争が進む市場で収益を確保する運用力の両立が、蓄電事業の成長を左右する。





