洋上風力で日台連携が進展
台湾の経験共有、APAC協力深化に弾み
2026/3/26

中東情勢の不安定化や地政学リスクの高まりを背景に、エネルギーの自立性と供給多様化は各国の安全保障戦略の中核課題となっている。特定エネルギーへの依存低減とリスク分散が急務とされる中、洋上風力発電はアジア太平洋地域における重要な脱炭素電源として存在感を高めている。GWECの2024年報告によれば、台湾の洋上風力導入容量は世界第5位に達しており、その発展モデルは国際的にも注目を集めている。
こうした中、3月19日に開催された「スマートエネルギーWeek (Wind Expo)」期間中、Energy NipponとWindTAIWANは共同で「日台洋上風力連携セミナー:台湾の先進事例から学ぶ市場展望とビジネス機会」セミナーを開催した。政策当局、デベロッパー、海事エンジニアリング、O&M事業者などが一堂に会し、台湾の実務経験を国際市場へ発信するとともに、アジア太平洋におけるサプライチェーン連携の強化を図った。会場には日本国内外の関係者が多数来場し、台湾市場の進展と供給網の成熟度に対する高い関心が示された。
セミナーでは「アジア太平洋の共創」を軸に、以下の主要テーマが議論された。
まず、政策と実績の観点では、台湾経済部エネルギー署(MOEA)の鄭如閔部長が登壇し、制度設計の進化と成果を紹介。台湾ではすでに487基の風車が設置され、総設備容量は4GWを超え、8つの商業運転中の洋上風力発電所が稼働しているとし、地域のエネルギー転換における先行事例としての位置づけを強調した。
そして、産業発展の軌跡については、台湾洋上風力産業協会(TOWIA)の黄苡瑄(Vanessa Huang)事務局長が、ゼロから4GW超に至る成長プロセスと課題を解説。現在進行中の「ラウンド3(第3フェーズ)」の開発動向にも触れ、国際情勢の不確実性が高まる中で、エネルギー安全保障の重要性が一層高まっていると指摘した。
また、開発および海事分野では、台湾初の実証風場を手がけた風睿能源(SRE Group)の林雍堯(Lucas Lin)会長が、アジア太平洋市場におけるシナジーと課題を分析。さらに、Jan De Nul GroupのCarl Heiremans氏は、海事エンジニアリングの視点から台湾がアジアの施工ハブとして台頭している点を指摘し、日台市場の統合可能性を展望した。
Heiremans氏は、Jan De Nul Groupが台湾の洋上風力プロジェクトの約7割に関与している実績を紹介し、地質調査から基礎・ケーブル施工、O&Mに至るターンキー能力を強調。特に、複雑な地盤条件や台風環境下における施工ノウハウが競争優位性の源泉であるとした。
さらに、O&M分野では、Deutsche Windtechnik(DWT)の邱浩維(Hao-Wei Chiu)カントリーマネージャーが台湾における実務運用の知見を共有し、日本の将来プロジェクトへの示唆を提示。最後に、WindTAIWANの劉昀副社長がメディアの視点から議論を総括し、日台協力による新たな洋上風力時代の可能性を示した。
今回のセミナーは、台湾の制度設計と産業実装の両面における強みを示すとともに、戦略立案、リスク管理、O&M高度化における日台連携の具体的な方向性を提示した。両国の協働は、アジア太平洋地域における持続可能なエネルギー成長に向けた重要な一歩となりそうだ。
このコンテンツはWindTAIWANにて公開されたものであり、
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