清水建設、アイルランド新興と協業
浮体式風力のコスト低減へ
2026/4/6

(写真:清水建設が建設に参画した福島沖の浮体式洋上風力発電設備の風車)
清水建設は浮体式洋上風力分野でアジア太平洋地域の主導権確立に向け、海外技術の取り込みを加速する。アイルランドの海洋技術スタートアップ、Dublin Offshore Technology(DOT)と戦略的協業に関する覚書(MOU)を締結し、同社への出資も実施した。出資額は数億円規模とみられる。3年以上にわたる技術協力を基盤に、商用展開を見据えた関係強化に踏み込む。
DOTは、浮体式洋上風車の係留システムに用いる荷重緩和装置(LRD)を開発した。円筒形の装置を係留索の中間に設置することで、波浪や風による張力変動を吸収し、構造負荷を低減する仕組みだ。これにより係留索の本数削減や細径化が可能となり、従来より小型の作業船での施工にも対応できる。コスト構造の見直し余地が大きい係留システムにおいて、建設費の圧縮効果が期待される。
LRDは2025年末、ノルウェーの第三者認証機関DNVからプロトタイプ認証を取得した。今後は実証段階から商用化フェーズへの移行が見込まれ、浮体式設備の標準的な構成要素として採用が広がる可能性がある。清水建設は今回の協業を通じ、同技術のアジア太平洋地域における優先的な活用権を確保した。
同社は、経済産業省の委託による福島復興浮体式洋上ウインドファーム実証事業で得たデータを活用し、LRDの経済性を検証した。将来主流とみられる出力15メガワット級の浮体式風車を水深100メートル海域に設置する条件では、係留チェーンの直径を185ミリから132ミリに、本数を9本から6本に削減できる試算となった。これにより、1基当たり約20億円のコスト削減が可能になると見込む。
浮体式洋上風力は欧州を中心に実用化が進む一方、アジア太平洋地域では本格導入に向けたコスト低減が課題となっている。清水建設はDOTとの連携を軸に技術優位性を確立し、同分野での事業拡大を狙う。



