大林組、浮体式洋上風力の次世代基礎で世界初AiP取得
2026/5/26

(写真:大林組プレスリリース)
TLP型ハイブリッド構造を実用段階へ、浮体コスト25%削減視野
大林組は25日、鋼材とコンクリートを組み合わせた「TLP(テンション・レグ・プラットフォーム)型」ハイブリッド浮体式洋上風力発電施設について、日本海事協会(ClassNK)から基本設計承認(AiP:Approval in Principle)を取得したと発表した。ClassNKによると、鋼・コンクリートのハイブリッド構造を採用したTLP型浮体式洋上風力基礎へのAiP発行は世界初となる。
今回承認を受けたのは、浮体式洋上風力発電設備を支える支持構造物。安全性や構造強度について、ClassNKのガイドラインに基づく評価をクリアし、商用化を前提とした成立性が確認された。開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の次世代浮体式洋上風力技術開発事業の一環として進められている。
浮体式洋上風力は、日本近海のような大水深海域への適用が期待される一方、建設コストや施工性が普及拡大の課題となってきた。大林組は2012年からTLP型浮体の研究開発を進め、水槽試験や数値解析、実海域での浮体挙動検証を積み重ねてきた。2018年には、風車搭載型コンクリートTLP浮体でAiPを取得しており、今回はその知見を基に、鋼材とコンクリートを適材適所で組み合わせたハイブリッド構造へ発展させた。
TLP型は、海底に固定した係留索へ常時張力を与えることで浮体の上下動を抑える方式で、発電時の安定性に優れる。大林組の試算では、一般的なセミサブ型浮体と比較して発電効率を約8%高められる可能性があるという。
さらに、ハイブリッド構造によって鋼製部材とコンクリート部材を別々に製作し、現地ヤードで接合できるため、生産・施工の柔軟性が向上する。これにより、浮体建造コストは鋼製セミサブ型比で約25%削減できる見込みだ。部材の並行製作が可能になることで、将来的な量産化にも対応しやすくなる。
係留方式にも特徴がある。従来のカテナリー係留は広い占用海域を必要とするのに対し、TLP型は係留索の広がりを抑えられるため、漁業活動との共存が比較的図りやすい。日本では洋上風力開発において漁業協調が最大の論点の一つとなっており、占用面積を抑制できる技術として関心を集めそうだ。
浮体式洋上風力を巡っては、欧州を中心に商用化競争が加速する一方、日本国内でも政府が浮体式導入拡大へ政策支援を強化している。とりわけ、北海道や東北、九州沖など大水深海域を抱える日本では、固定式に代わる次世代技術として浮体式への期待が高い。
大林組は今後、NEDO事業の下で2028年の実海域実証を目指す。風車を搭載した実証機による運転データを蓄積し、商用化設計へ反映させる考えだ。浮体式洋上風力のコスト低減と量産化が進めば、日本の再生可能エネルギー導入拡大と、2050年カーボンニュートラル実現に向けた重要な一歩となる可能性がある。



