アマゾン、独史上最大の企業向けPPA締結 Skybornの洋上風力「Gennaker」から600MW調達
2026/6/23

米アマゾンは6月19日、再生可能エネルギー開発大手Skyborn Renewablesと、ドイツ・バルト海で建設予定の洋上風力発電所「Gennaker(ゲンナカー)」から電力を調達する長期電力購入契約(PPA)を締結したと発表した。契約規模は600MWに達し、単一案件としてはドイツ史上最大の企業向けPPAとなる。
今回の契約により、アマゾンはGennakerの発電容量の約61%に相当する電力を長期的に購入する。Skybornにとっては大型プロジェクトの資金調達を後押しする収益基盤となり、ドイツのエネルギー転換を支える象徴的な案件として注目を集めている。
バルト海最大級の洋上風力発電所
Gennakerはドイツ北東部メクレンブルク=フォアポンメルン州沖のバルト海に建設される計画で、総設備容量は最大976.5MW。15MW級の大型洋上風車63基を設置し、年間発電量は100万世帯以上の電力需要を賄う規模となる。
Skybornは2025年12月に建設許可を取得しており、2026年夏に最終投資決定(FID)および資金調達完了後、建設を開始する予定だ。商業運転開始は2028年末を見込む。
同プロジェクトはドイツ政府が掲げる「2030年までに洋上風力設備容量30GW」の目標達成にも寄与する。ロシア産化石燃料への依存低減や国内再エネ電源の拡充を進める中で、バルト海における大規模洋上風力の開発はエネルギー安全保障の観点からも重要性を増している。
地域経済への波及効果も
Gennakerの総投資額は約30億ユーロ(約5,100億円)に上る見通しだ。風車基礎に使用されるモノパイルは、現地ロストックに拠点を持つドイツ企業EEW Special Pipe Constructions(EEW SPC)が製造を担う。
同社は約1,000人を雇用しており、プロジェクトは地域サプライチェーンの維持・拡大や製造業投資の呼び水となることが期待されている。
メクレンブルク=フォアポンメルン州のマヌエラ・シュヴェージヒ首相は、「州史上最大のエネルギー投資案件であり、大企業が州内の風力発電に投資する重要なメッセージだ」と評価した。
アマゾン、ドイツで再エネ容量1.3GW超へ
アマゾンは近年、データセンターや物流施設の拡大に伴う電力需要増加を背景に、世界各地で再生可能エネルギー調達を加速している。
同社によると、今回のGennaker案件を含めると、ドイツ国内の再エネプロジェクトは計12件、総設備容量は1.3GWを超える。すべて稼働した場合、約180万世帯分に相当するクリーン電力を供給できるという。
アマゾンは2019年に気候変動対策イニシアチブ「The Climate Pledge」を共同設立し、2040年までに事業全体でネットゼロ排出を達成する目標を掲げている。BloombergNEFによると、同社は欧州最大の企業向け再エネ購入企業でもある。
ドイツ・オーストリア・スイス地域を統括するアマゾンのロッコ・ブラウニガー氏は、「官民の長期的な協力がエネルギー転換の鍵となる。今回の契約により、約1GW規模の新たな洋上風力発電容量の導入を後押しし、ドイツのエネルギー安全保障強化と地域経済の発展に貢献する」と述べた。
企業PPA市場拡大の象徴に
欧州では再エネ開発に対する補助金依存を減らし、市場原理を活用した事業モデルへの移行が進む。その中で、長期PPAは開発事業者に安定収益をもたらし、需要家には脱炭素電力の確保と電力価格変動リスクの低減を可能にする手法として急速に普及している。
今回の契約は、データセンターやAI関連インフラの拡大に伴う電力需要増加を背景に、グローバル企業が大規模再エネ開発の事実上のスポンサーとして機能する構図を改めて示した。ドイツにおける企業PPA市場の成熟と、洋上風力開発の新たな資金調達モデルを象徴する案件として、今後の欧州再エネ市場にも影響を与えそうだ。
参考資料:Skyborn Renewables
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