フィリピン、2GWの大型浮式洋上風力発電所計画を承認――洋上風力発電の規模が5倍に拡大へ

2025/08/12

画像出典元:freepik


フィリピンの国営電力網運営会社(NGCP)は、Buhawind Energy Northern Luzon Corporation(BENLC)の提案する北ルソン浮式洋上風力発電所の施設調査(Facilities Study, FS)を承認した。このプロジェクトは、ルソン島北部のイロコス・ノルテ州に位置し、出力容量は2GW。商業運転は2030年を予定しており、フィリピンで初めて実質的な開発段階に進んだ大型浮式風力発電所となる。


BENLCは、デンマークのCopenhagen Energy GroupとフィリピンのPetroGreen Energy Corporationの合弁事業であり、両者は2020年に協力を開始し、2022年にはBuhawind Energy Philippinesという合弁プラットフォームを設立した。今後の開発計画には、2GWの北ルソンプロジェクトをはじめ、1GWの北ミンドロ、1GWの東パナイという3つの浮式風力発電所が含まれ、総容量は4GWに達する予定だ。


また、北ルソンプロジェクトは、2025年5月に環境許可を取得し、フィリピンエネルギー省より「国家重要エネルギー事業証明書(CEPNS)」を授与された。この施設調査の承認は、プロジェクトの進捗における重要なステップとなり、規制審査の加速が期待される。


現在、フィリピンの総発電容量は29GWで、風力発電はその中でわずか1.5%を占めるにすぎない。北ルソンプロジェクトが商業運転を開始すれば、同国の風力発電容量は約5倍に増加し、フィリピンのエネルギー転換の重要な指標となるとみられている。



このコンテンツはWindTAIWANにて公開されたものであり、

ENERGYNIPPONとのコラボレーションにより共有されています。

前のページに戻る
7億ドルで造られたアメリカ初の風力発電巨艦、『海上モンスター』がついに出航
By info 2025年8月8日
アメリカのエネルギー企業ドミニオン・エナジーが7.15億ドルを投資して建造した風力タービン設置船(WTIV)「Charybdis」が、今週ついに海上試航を開始した。この426フィート(約130メートル)の巨艦は、アメリカ史上初めて自国籍を持つ風力タービン設置船であり、アメリカの洋上風力産業にとって重要な節目となる。
石油への回帰開始か――BP、オーストラリアの超大型グリーン水素プロジェクトを放棄
By info 2025年8月8日
英国の石油大手BPは、オーストラリア再生可能エネルギーセンターの大規模グリーン水素プロジェクトから撤退することを発表した。BPは63.57%の持ち株を放棄し、このプロジェクトは世界最大級のグリーン水素プロジェクトのひとつであり、同社がクリーンエネルギーから撤退し、利益率の高い石油・ガス業界へと回帰することを意味している。
海底ケーブル、世界の新たな戦場に――各国が防衛体制を強化
By info 2025年8月1日
イギリス議会の国防委員会は最新の報告書で、イギリス政府に対し、「多機能海洋監視船(MROSS)」の2隻目の建造を早急に進めるよう求めた。これは、敵対国家による海底インフラへの破壊行為を抑止・対応するための措置。報告書は、6年間にわたって調査された「グレーゾーン活動(grey zone activities)」に基づく。