ベスタス、日本にナセル工場計画
洋上風力拡大見据え供給網強化
2026/3/10

デンマークの風力発電機メーカーベスタス(Vestas)は、日本国内で風力発電設備の製造拠点設立を検討している。日本の経済産業省と締結した協力覚書(MOU)に基づき、2029年度までにナセル(ローターとタワーの間に位置し、増速機や発電機を内蔵する箱の部分)の最終組立工場を設立する方向で検討を進める。
日本政府は洋上風力の導入拡大をエネルギー政策の柱と位置付けており、経済産業省は同計画に対して最大限の支援を行う方針だ。日本メディアによると、候補地としては北九州市 と室蘭市(北海道)が有力視されている。
覚書ではさらに、2030年代後半までにナセルの完全生産拠点を日本に設けるロードマップも示された。ただしベスタスは、投資の実行には日本の洋上風力市場が継続的に拡大し、十分な案件量や将来の入札計画の見通しが確保されることが前提になるとしている。
ベスタスのナセル工場が実現すれば、日本政府が目指す洋上風力の国内サプライチェーン構築にとって大きな前進となる。政府は風車設備の製造だけでなく、設置船など関連産業を含む総合的な産業基盤の整備を進めている。
ベスタスは1993年に日本へ初めて風力タービンを納入して以来、国内で累計1.5GW以上の設備容量を導入してきた。最近では、福岡県北九州市沖で稼働する北九州響灘洋上ウインドファームに、V174-9.6MW風車25基を供給。同発電所は今月初めに全面稼働し、現在日本最大の商業運転中の洋上風力発電所となっている。
さらに同社は、秋田県で計画される315MWの男鹿・潟上・秋田洋上風力発電プロジェクト 向けに、15MW級風車「V236-15.0MW」21基を供給する契約も獲得した。この案件は、JERA、J-POWER、東北電力、伊藤忠商事などによるコンソーシアムが開発する。
同契約は、ベスタスにとってアジア太平洋地域で初となるV236-15MW風車の受注であり、日本が「再エネ海域利用法」に基づく洋上風力入札制度を改定して以降、初めて進むプロジェクトの一つでもある。
サプライチェーンの強化に向け、ベスタスは日本企業との連携も拡大している。経済産業省副大臣の山田賢司氏の立ち会いのもと、日本通運株式会社およびDENZAI株式会社と覚書を締結。風力発電プロジェクトの円滑な実施と、日本国内の供給網強化を目指す。日本通運との協力では、NIPPON EXPRESSホールディングスグループのグローバル物流ネットワークを活用する。
一方、日本政府は洋上風力の導入目標として2030年までに10GW、2040年までに30~45GWを掲げている。2050年のカーボンニュートラル実現に向けた重要電源と位置付けているが、導入の進展は目標に比べて遅れているとの指摘も多い。
2024年には三菱商事が採算性の悪化を理由に洋上風力プロジェクト3件から撤退。政府の検討会はその後、制度面の「構造的課題」を指摘し、投資環境の改善策を検討している。
こうした中、ベスタスの国内製造拠点計画は、日本の洋上風力産業の競争力強化とサプライチェーンの安定化につながる可能性がある。国内製造基盤の整備が進めば、プロジェクトコストの低減や調達の安定化につながることが期待されており、日本の洋上風力産業の競争力強化にも寄与するとみられている。
参考資料:経済産業省ニュースリリース



