東洋建設、国内最大級のケーブル敷設船「DISCOVERY」を受領 300億円投じ洋上風力施工体制を強化
2026/7/3

自航式ケーブル敷設船「DISCOVERY」
東洋建設は6月26日、ノルウェーの造船大手VARDの造船所で、自航式ケーブル敷設船「DISCOVERY」の引渡しを受けた。約300億円を投じて建造した同船は、総トン数約1万9,000トン、全長約150メートル、幅28メートルを誇る国内最大級のケーブル敷設船で、日本の洋上風力発電市場の拡大を見据えた施工体制の強化を進める。
DISCOVERYは、洋上風力発電所で発電した電力を陸上へ送る海底送電ケーブルの敷設を主な用途とする自航式船舶である。約3カ月かけて日本へ回航した後、国内で最終調整を実施し、10月1日から北海道・石狩湾新港を母港として運用を開始する予定だ。
国内では高性能なケーブル敷設船を保有する事業者が限られており、海底ケーブル施工能力は洋上風力のサプライチェーンにおける重要な課題の一つとなっている。東洋建設は船舶を自社保有することで施工能力を高め、洋上風力関連工事の受注拡大を目指す。
同船には総容量9,000トンのケーブルタンクを搭載し、一度に大量の海底ケーブルを積載できる。さらに、自動船位保持システム(DP Class 2)を備え、波浪や潮流の影響を受けやすい海域でも高精度な施工が可能となる。
また、ケーブル敷設モードと建設モードを切り替えられる設計を採用しており、将来的には浮体式洋上風力発電設備の係留工事や海底直流送電(HVDC)インフラの整備など、多様な海洋工事への活用も想定している。
引渡し式では、東洋建設の中村龍由社長が「本格的な国内事業展開に向けて準備を進め、顧客や事業パートナー、社会に対する長期的な価値創造に取り組んでいく」と述べた。
建造を担当したVARDも、DISCOVERYについて「日本の船級・船籍要件に適合させながら完成させた日本最大級のケーブル敷設船」であり、着脱式ケーブル敷設システムや2基のオフショアクレーンを備え、多様な洋上工事に対応できると説明した。
東洋建設は港湾・海洋土木を主力とするゼネコンで、2025年には大成建設によるTOBが成立し完全子会社となった。大成建設グループは洋上風力発電を成長分野と位置付けており、施工能力の強化を通じて国内市場での競争力向上を図る。
日本政府は2040年に30~45GWの洋上風力導入を目標に掲げる一方、建設コストの上昇やサプライチェーン不足が開発の大きな課題となっている。特に海底ケーブル敷設は施工船や専門人材が限られ、海外船舶への依存度が高い分野だ。
東洋建設によるDISCOVERYの導入は、単なる船舶の更新ではなく、日本国内で不足している施工リソースを自社で確保する戦略投資と位置付けられる。今後、着床式洋上風力だけでなく、浮体式洋上風力やHVDC送電網の整備が本格化すれば、高性能なケーブル敷設船の需要はさらに高まる可能性がある。国内企業が施工能力を内製化する動きは、日本の洋上風力サプライチェーン強化を占う重要な一歩となりそうだ。



