RWE、米洋上風力3リース返上 12.2億ドル和解でLNG・ガス火力に資本再配分
2026/8/11
ドイツ電力大手RWEは8月6日、米内務省と和解契約を締結し、ニューヨーク湾(New York Bight)、カリフォルニア沖、ルイジアナ沖で保有していた3件の洋上風力発電リース権を返上すると発表した。和解金は総額12億2000万ドル(約1800億円)に上り、同社は今後、米国でのLNG(液化天然ガス)関連事業や天然ガス火力発電に資本を重点配分する。
RWEによると、同社は米国洋上風力市場への参入に向け、リース取得費用と開発費を合わせて10億ドル超を投じてきた。3案件はいずれも開発初期段階にあり、稼働時期は2030年代以降を想定していた。
同社は声明で「慎重な検討の結果、当面これらのプロジェクトが米国で許認可を取得できる道筋はないと判断した」と説明した。和解により政府に対する法的請求を解決し、資本を「確実に前進できるエネルギープロジェクト」に振り向けるとしている。
今回返上するリースのうち、ニューヨーク湾の案件は2022年にバイデン前政権下で実施された大規模オークションで約11億ドルで落札したものだった。カリフォルニア沖とルイジアナ沖の2案件の取得費用は計1億6300万ドルとされる。
ロイターによれば、トランプ政権は洋上風力発電について「コストが高く景観を損なう」との立場を取り、化石燃料生産拡大を優先する政策を進めている。RWEとの和解は、同政権が今年締結した洋上風力関連のリース解除・補償案件として5件目で、金額ベースでは最大規模となる。
RWEは和解金を活用し、米国でのガス関連投資を拡大する方針だ。具体的には、ルイジアナLNGプロジェクトに9億ドルを投じ、間接的に16%の持分を取得する。また、将来の発電設備容量を確保するため、3億ドル規模のガスタービン予約契約も締結した。米国内では15件のガスピーカー発電所案件を開発中という。
同社の米国事業会社RWE Americasは、今後6年間で約170億ユーロを投資し、現在27州で約13GWの発電容量を2031年までに22GWへ拡大する計画を掲げる。2025年だけでも米国内で2GWの新規発電容量を運転開始したとしている。
一方でRWEは、洋上風力事業そのものから撤退するわけではない。現在、世界で18カ所の洋上風力発電所を運営し、4カ所を建設中で、さらに複数案件を開発している。英国の最新洋上風力入札では計6.9GWの案件を確保しており、欧州を中心に洋上風力事業を引き続き成長分野と位置付けている。
米国では近年、インフレ抑制法(IRA)を追い風に洋上風力投資が拡大してきたが、政権交代による政策不透明感が強まっている。RWEの判断は、許認可リスクが大型再エネ投資の採算性を左右することを改めて示した形であり、今後の米洋上風力市場への海外資本流入にも影響を与える可能性がある。
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RWEの今回の和解は、単なる個別案件の中止ではなく、「許認可の確実性」を重視した資本配分への転換を象徴している。特に注目されるのは、洋上風力向けに確保していた資本をLNGインフラやガス火力へ迅速に再配置した点だ。
洋上風力は巨額の先行投資と長期の開発期間を必要とする一方、政策変更による影響を受けやすい。RWEが「当面、許可取得の道筋がない」と明言したことは、米国市場における制度リスクの高さを示唆する。
日本でも洋上風力導入拡大に向けて公募制度やサプライチェーン整備が進むが、投資家にとって最も重要なのは、長期にわたり予見可能な制度環境を維持できるかどうかである。RWEのケースは、再生可能エネルギー拡大においても、政策の継続性と許認可プロセスの透明性が国際資本を呼び込む前提条件であることを示す事例と言えそうだ。
参考資料:RWEプレスリリース、Reuters





